電気主任技術者とは?仕事内容や年収・試験の難易度をわかりやすく解説

電気主任技術者とは?仕事内容や年収・試験の難易度をわかりやすく解説

2026/05/25

投稿者:elecareer_staff

 

現在の給与や今後のキャリアに漠然とした不安を抱え、電気主任技術者の資格取得に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、電気主任技術者とはどのような仕事なのか、年収の目安や資格の難易度、そして取得後に広がる具体的なキャリアパスについて分かりやすく解説します。

結論からお伝えすると、電気主任技術者は社会的な需要が非常に高く、実務経験を積むことで将来的な年収アップや独立を目指すことができる魅力的な国家資格です。

読み終わる頃には、ご自身がこの資格を目指すべきかどうかの判断ができ、合格に向けてどのような行動を起こせばよいかが明確になります。

 

 

電気主任技術者とはどのような資格なのか

 

 

電気主任技術者は、私たちの生活やビジネスに欠かせない電気設備の安全を守るための重要な国家資格です。資格の全体像や社会的な役割について、まずは基本的な情報を一緒に整理していきましょう。

資格の種類 対応できる設備電圧の範囲 主な対象施設
第三種 電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く) 一般的なオフィスビル、中規模の工場、商業施設
第二種 17万ボルト未満の事業用電気工作物 大規模な工場、中規模の発電施設
第一種 すべての事業用電気工作物 大規模な発電所、変電所

 

電気設備の保安監督を行う独占業務

電気主任技術者の大きな役割は、事業用電気工作物の工事や維持、運用に関する保安監督を行うことです。ビルや工場、商業施設、病院などに設置されている受変電設備を利用する事業者は、電気事業法によって有資格者を責任者として選任することが義務付けられており、配置がなければ営業を続けることができません。

結果として有資格者でなければ対応できない独占業務となっており、社会から常に高い需要が寄せられる状況が続いています。世の中に電気設備が存在し続ける限り、景気変動の影響を受けにくく、安定した需要が見込める職業といえます。

日常の点検業務では、専用の測定器を用いた絶縁抵抗の測定や、設備に異常な発熱がないかの確認を定期的に実施します。万が一停電やトラブルが発生した際には、いち早く現場へ駆けつけて原因を特定し、安全な復旧に向けた的確な指示を出すことも重要な役割となります。

建物の心臓部ともいえる電気設備を管理するため、現場での責任は大きいものの、人々の当たり前の日常を守るという強いやりがいを感じやすい仕事といえます。

 

第一種から第三種までの種類と対応範囲

資格の区分には、第一種から第三種までの三つの種類が設けられています。取り扱える設備の電圧によって資格が分かれており、第三種は電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物に対応するというルールです。一般的なオフィスビルや中規模の工場であれば、第三種を取得することで施設の管理に十分に対応が可能です。そのため、これから資格取得を目指す未経験の方の多くは、まず第三種の試験合格を最初の目標に設定する傾向にあります。

第二種になると電圧17万ボルト未満の設備を扱えるようになり、さらに第一種を取得するとすべての事業用電気工作物を監督できるようになるという違いがあります。上位の資格になるほど扱える設備の規模が大きくなり、希少価値が上がるため企業からの評価も高まります。

試験自体は第一種や第二種からいきなり受験することも制度上は可能ですが、第二種は試験のレベルが大学の専門課程相当、第一種になると大学院レベルと言われることが多く、難易度がかなり高くなる点には注意が必要です。将来的に大規模な発電所で働きたいと考えている場合は、まず第三種を取得し、現場での実務経験を積みながら上位資格へのステップアップを計画していくとよいでしょう。

 

 

電気主任技術者の年収と将来性について

 

 

資格取得に向けた長い学習期間を乗り越えるためには、将来得られる見返りを正しく知っておくことが大切です。資格を取得した後に期待できる収入の目安や、今後の業界の展望について解説します。

経験年数と働き方 想定される年収の目安 業務の特徴
未経験・資格取得直後 350万円〜450万円 先輩社員の補助や基礎的な設備点検の実施
設備管理(経験5年以上) 450万円〜600万円 現場の責任者としての管理業務とトラブル対応
保安協会(経験10年以上)

600万円〜800万円

※地域・役職・実績で差が大きく、保安協会勤務と電気管理技術者としての保安法人所属では待遇が異なる

複数施設の巡回点検や顧客への技術指導
独立開業(個人事業主)

700万円〜1000万円以上

(個人差が大きい)

自ら営業を行い複数の企業と直接契約を結ぶ

 

実務経験や勤務先による年収の目安

第三種電気主任技術者の年収は、350万円から550万円程度が目安といわれています。資格を取得してすぐの未経験の段階では、一般的な会社員と大きな給与の差はないと感じるかもしれません。しかし、現場での実務経験を重ねることで着実に給与を上げていくことが可能な職種です。

勤務先の企業によっては、月に数千円から数万円の資格手当が継続して支給されるため、毎月の収入の底上げに直結する大きなメリットがあります。また、設備管理会社だけでなく、電気の保守を専門とする保安協会に勤務することで、より高い専門性が評価されて収入が上がりやすくなる傾向にあります。

電験二種保有者の年収は400万〜700万円程度、電験一種保有者では550万〜800万円程度とされています。実力次第では年収600万円以上の待遇を得ることも十分に可能であり、努力が収入に直結しやすい環境といえるでしょう。長期的には、一定の実務経験を積んだ後に独立開業を果たし、1000万円以上の高収入を実現している先輩技術者も存在します。しかし、それは相応の努力と経営手腕を持った一部の人に限られており、誰もが容易にその成功を手にできるわけではない点には注意が必要です。

 

再生可能エネルギー普及による需要の高まり

近年は太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー施設の建設が全国で増加しており、設備の管理を担う電気主任技術者の需要も大きく高まっているとされています。メガソーラーと呼ばれる大規模な太陽光発電設備は郊外や山間部に建設されており、そこでも高圧の電気を扱うための保安管理が必須の要件です。政府が推進する脱炭素社会に向けた取り組みの中で、新しい発電施設は今後も全国に建設される見込みとなっています。

一方で、これまで第一線で活躍してきたベテラン技術者の高齢化が進んでおり、業界全体で若い人材や新たな資格取得者が強く求められている状況です。最近では、都市部に住みながら定期的に地方の発電所へ出向いて点検を行うような、新しいワークスタイルを実践する技術者も増えつつあります。電気という社会インフラを支える重要な役割を担うため、AIや機械に完全に代替されるリスクは低いと考えられており、長期的な安定を求める方にとって非常に有望な選択肢です。

世の中の技術がどれほど進歩しても、設備の最終的な安全確認やトラブルへの臨機応変な対応には、現場の技術者による判断が欠かせないと考えられています。

 

 

電気主任技術者になるための2つの方法

 

 

電気主任技術者の資格を得るには、大きく分けて試験を受験する方法と、一定の要件を満たして認定を受ける方法の2種類が存在します。ご自身の状況に合わせて最適な方法を選ぶための参考にしてください。

取得ルート 主な対象者 メリットと注意点
国家試験の受験 学歴やこれまでの実務経験を問わずすべての人 誰でも挑戦できるが広範囲な試験勉強が長期的に必要
認定による取得 認定校を卒業し所定の実務経験がすでにある人 試験が免除されるが詳細な経験の証明と面接が必要

 

試験に合格して資格を取得するルート

一つ目の方法は、毎年実施されている国家試験を受験して合格を勝ち取ることです。年齢や学歴、実務経験などの受験資格は一切設けられていないため、全くの未経験からでも挑戦できるという大きな特徴があります。

試験科目は一次試験として理論・電力・機械・法規の4科目に分かれています。第三種はこの一次試験のみで、すべての科目に合格すれば免状の交付を受けられます。第一種・第二種はさらに二次試験(電力・管理、機械・制御の2科目/記述式)への合格も必要です。なお、一次試験には一部の科目に合格した場合に次回以降の受験が免除される「科目合格制度」が設けられており、複数回の試験に分けて段階的に合格を目指すことも可能です(詳細は後述します)。

試験に出題される内容は専門的であり、高校レベルの数学や物理の知識が求められるため、文系出身の方にとっては、初めは少し難しく感じるかもしれません。理論科目などで出題される計算問題を解くためには、オームの法則のような基礎的な内容はもちろんのこと、三角関数やベクトルといった知識が重要になります。

しかし、市販のテキストや通信講座を正しく活用し、基礎からコツコツと学習を重ねることで、文系の方でも十分に合格を目指すことができる試験です。数学に苦手意識がある方は、いきなり専門用語の暗記から始めるのではなく、電気数学と呼ばれる基礎分野からじっくりと復習を始めることが合格に近づく効果的な方法です。

 

認定校の卒業と実務経験による取得ルート

二つ目は、経済産業省が認定する学校を卒業し、指定された年数の実務経験を積むことで、無試験で資格を取得する認定ルートです。第三種の場合、大学卒業であれば1年以上、短大・高専卒業であれば2年以上、高等学校卒業であれば3年以上の実務経験が必要です。実務経験として認められるのは、電圧500ボルト以上の電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務に限られます。

一般的な家庭向けの低圧電気工事だけでは実務経験としてカウントされないケースが多いため、自分が担当している業務が認定の条件を満たしているか、早い段階で確認しておくことをおすすめします。ご自身の卒業校が認定校に含まれているかどうかも含めて、事前に所轄の産業保安監督部に相談しておくことが大切です。

ただし、認定手続きには詳細な実務経験の証明書類を作成する必要があり、担当者との専門的な面談も行われるため、決して簡単な手続きだけで取得できるわけではない点には注意が必要です。

 

 

試験の難易度と合格に向けた勉強法

試験の難易度や近年の合格率の推移を正しく把握することは、モチベーションを維持しながら学習を進めるために欠かせません。精神的な負担を減らしながら効率的に学習を進めるための制度についても紹介します。

試験の実施年度 合格率の目安 試験制度の主な特徴
平成22年度~令和3年度 約5~12%程度 年1回のみの実施で、筆記方式のみの試験
令和4年度 約8〜15%程度 年2回実施へと制度が変更され機会が増加
令和5年度以降 約13〜21%程度

パソコンで受験するCBT方式が導入される

※筆記方式と併用

 

近年の合格率の推移と試験の難易度

第三種電気主任技術者試験の合格率は、以前は10パーセント前後で推移する難関試験として広く知られていました。近年はパソコンを使って受験するCBT方式が導入されるなどの試験制度の変更があり、令和5年度下期の試験では21パーセントを超える高い合格率を記録するなど、一時的に大きく上昇した時期もありました。しかし、令和7年度の試験では合格率が再び低下傾向にあり、上期・下期ともに13%前後で推移するなど、以前の難易度に戻りつつあります。

一方で、CBT方式が導入されたことで受験環境の利便性は大きく向上しています。あらかじめ用意された試験期間内であれば、ご自身の都合に合わせて受験する日時や会場を自由に選択できるようになりました。仕事が忙しくて決まった日曜日に休みを取るのが難しかった社会人の方でも、スケジュールの調整がしやすくなり、受験へのハードルが大きく下がったといえます。

とはいえ、出題範囲の広さや計算問題の複雑さが変わったわけではないため、事前の準備を怠ると合格点に到達することは困難です。電卓を正確に素早く叩くスキルや、複雑な電気回路の仕組みをイメージする力が求められるため、過去問を繰り返し解く反復練習が非常に重要となります。

 

科目合格制度を活用した効率的な対策

試験には科目ごとの合格制度が設けられており、一度合格した科目は申請によって一定期間受験が免除される仕組みが採用されています。具体的には、合格した科目については最初に合格した試験以降、連続して最大5回まで試験の免除を受けることができるため、2科目ずつなど複数科目を組み合わせて確実に合格を目指す計画も有効になります。電気の基礎知識がない状態から全科目を一度の試験で突破するのは非常にハードルが高いため、この制度を最大限に活用することをおすすめします。

理論と機械は計算問題の比重が大きく基礎となる数学の理解が合否に大きく影響する科目であり、一方で電力と法規は暗記中心の知識問題が多く出題される傾向にあります。まずは土台となる理論をしっかりと理解し、その後にほかの科目を進めていくというような、余裕を持った学習順序を取り入れると効率よく知識を定着させることが可能です。万が一すべての科目に合格できなくても、一部の科目に合格しておけば次回の試験に向けた精神的な負担が大幅に軽減されるため、諦めずに学習を継続する原動力になります。

 

 

資格取得後に考えられるキャリアパス

 

 

資格を取得した後にどのような職場で活躍できるのか、具体的なキャリアパスを知ることで将来の目標がさらに明確になります。ここでは資格の活かし方として代表的な働き方を二つ紹介します。

主な就職先・働き方 業務の裁量 働きやすさや働き方の傾向
ビルメンテナンス会社 会社の指示に基づき業務を行う 常駐施設が決まるとスケジュールが安定しやすい
電気保安協会 個人の裁量がやや大きくなる 複数施設を巡回するため移動や柔軟な対応が必要
独立開業(個人事業主) すべて自分の裁量で自由に決める 営業力次第で高収入が得られるが自己責任が伴う

 

ビルメンテナンスや設備管理会社での活躍

資格を取得した後の代表的な就職先として、ビルメンテナンス会社や設備管理会社が挙げられます。商業施設やオフィスビル、病院などの建物に常駐し、日々の電気設備の点検やトラブル対応を行うのが主な業務となります。

常に同じ施設で勤務することが多く、業務のスケジュールがあらかじめ決まっているため、残業が少なくワークライフバランスを保ちやすいのが大きな利点です。また、設備管理会社では電気設備だけでなく、空調や給排水設備の管理もあわせて任されることが少なくありません。そのため、第二種電気工事士や危険物取扱者、ボイラー技士といった関連資格をあわせて取得しておくことで、現場のオールラウンダーとしてさらに高く評価されるようになります。

身体的な負担が比較的少ない現場も多いため、年齢を重ねても無理なく安定して働き続けやすいという魅力があります。これから実務経験を積んでいきたいと考える未経験者にとって、ビルメンテナンス業界は知識を現場で実践するための素晴らしい環境を提供してくれます。

 

保安協会での経験から独立開業を目指す働き方

もう一つの選択肢として、電気保安協会などの専門機関に就職し、複数の施設を車などで巡回して点検を行う働き方もあります。さまざまな現場で多様なメーカーの設備に触れることができるため、専門的な知識と経験を短期間で効率よく深めることが可能です。

さらに、巡回業務を通じて一定の実務経験を積み重ねることで、個人事業主の電気管理技術者として独立開業する道も開けます。かつては第三種を取得して独立するためには5年の実務経験が必要とされていましたが、近年の制度改正によって、所定の講習(保安管理業務講習)を修了すれば3年に、さらに追加の訓練(保安管理業務訓練)を修了すれば2年に短縮されるようになりました。一定の設備条件を満たす場合は最短1年まで短縮が可能です。これにより、これまでよりも早いスピードで独立開業を目指せるようになり、キャリアプランの自由度が大きく広がっています。

独立後は自ら顧客と直接契約を結ぶことになるため、会社員時代よりも高い収入を目指すことが現実的な目標となります。自分のペースで仕事の量を調整できるようになるため、定年退職後も生涯現役の技術者として活躍し続ける方が多いのも、この働き方ならではの大きな特徴といえるでしょう。

 

 

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • 電気設備の保安監督を行う独占業務であり世の中からの需要が非常に安定している
  • 平均年収は400万円から550万円程度で実務経験や独立により高収入を狙える
  • 近年はCBT方式の導入などで受験環境の利便性は高まっているが、直近では合格率が低下傾向にあり、十分な試験対策が欠かせない
  • 科目合格制度を活用し数年がかりで計画的に学習を進めることが合格への近道となる

電気主任技術者の資格を取得することは、将来の不安を減らし、生涯にわたって安定したキャリアを築くための強力な武器となりますので、ぜひ前向きに挑戦をご検討ください。

 

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