電気工事士の採用が難しい理由と人手不足を解消するための対策。
2026/07/22
投稿者:Miho
電気工事士の採用に悩んでいる経営者や採用担当者に向けて、採用活動の現状と具体的な解決策を解説します。
求人募集を出しても応募が集まらず、人手不足に頭を抱えている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、電気工事士の採用が難しい理由や最新の求人倍率のデータとともに、自社で取り組める対策を紹介します。
読み終わると、自社の採用活動を見直すヒントが得られ、効果的な採用戦略を立てられるようになるでしょう。
執筆者

電気工事士の採用が難しい理由とは
電気工事士は不況にも強く安定性のある職種であり、本来であれば求職者にとって魅力的に映る職業のはずです。それにもかかわらず応募が集まらないのは、現場仕事のハードなイメージや業界特有の構造的な問題が影響しているためです。まずは応募が来ない原因を客観的に把握することが、採用改善の第一歩となります。
|
採用が難しい主な理由 |
理由の背景と詳細 |
|
高齢化と若手不足 |
就業者は50代以上が多く、少子高齢化で労働力も減少していること |
|
労働環境のイメージ |
早朝作業や残業、体力的負担、休日の取りにくさで敬遠されやすいこと |
|
資格取得のハードル |
資格取得に勉強と実務の両立が必要で、教育コストもかかること |
建設業界全体の高齢化と若手不足
電気工事士をはじめとする建設業界全体において、就業者の高齢化が進行しています。経済産業省の調査資料によると、電気工事業界の年齢構成は50代以上が多くを占めており、20代や30代の若手層の割合が低い傾向にあります。
ベテラン技術者が定年退職を迎える一方で、その穴を埋める若手の入職者が少ないことが大きな課題です。若者が電気工事士を目指さない背景には、業界を知るきっかけの少なさもあります。仕事を知る入り口が親族など身近な人からの紹介に偏っており、業界自体が若い世代に認知されていないのです。加えて、工業高校や養成施設が減少し、在学しても業界へ就職する割合はわずか15%程度という指摘もあり、若手不足を一層深刻にしています。
参考:経済産業省「令和6年度新エネルギー等保安規制高度化事業(電気工事業者等の実態調査)報告書」
労働環境に対するネガティブなイメージ
現場での作業が中心となるため、労働環境に対する厳しいイメージが先行してしまうことも採用を難しくしています。朝早くから現場に向かい、工期に追われて残業が発生することも珍しくありません。体力的な負担が大きいことや土日の休みが取りにくいといった理由から、求職者が敬遠してしまうケースが多いようです。
さらに、建設業界全体にはいわゆる3K(きつい・汚い・危険)のイメージが根強く残っており、人気職種になりにくい要因となっています。実際の職場環境が改善されていても、求職者側の先入観が払拭されないまま応募をためらう例は少なくありません。求人票や自社の発信を通じて、実際の働き方を具体的に伝える工夫が求められます。
資格取得のハードルと教育コスト
電気工事を行うためには、第二種や第一種の電気工事士資格が求められます。未経験から始める場合、資格取得に向けた勉強と現場での実務を並行して行う必要があり、求職者にとって精神的なハードルとなります。また、企業側にとっても未経験者を一人前に育てるための教育コストや時間が負担となる傾向にあります。
即戦力となる有資格者はすでに他社で活躍していることが多く、採用市場に現れにくいのが実情です。有資格者は「スキルや技術を深めたい」というこだわりを強く持つ傾向があります。そのため、待遇面だけでなく、入社後にどんな技術が身につきどんな案件に挑戦できるのかを示すことも重要です。有資格者の獲得競争に絞るのではなく、自社で人材を育成していく視点も求められるでしょう。
【関連記事】電気工事士の合格率は?難易度や一種と二種の違いを解説!|ELECAREER(エレキャリア)
電気工事士の採用状況と有効求人倍率
現在の採用市場において、電気工事士を求める企業がどのくらい存在しているのかを把握することは重要です。有効求人倍率とは、仕事を探す人の数に対して求人がどれだけあるかを示す指標で、数値が高いほど働き手が不足していることを意味します。「自社に魅力がないのでは」と悩む前に、まずは市場全体の状況を数値で客観的に把握しておきましょう。
|
項目 |
詳細データと傾向 |
|
求職者の動向 |
複数の企業から内定を得やすく条件の良い企業を選ぶ傾向 |
|
企業の対応 |
待遇改善や自社の魅力の発信など採用基準の見直しが急務 |
厚生労働省のデータから見る需要の高さ
電気工事士の需要は高く、慢性的な売り手市場が続いています。
厚生労働省の一般職業紹介状況によると、日本全体の有効求人倍率は令和7年度平均で1.20倍、令和8年3月時点で1.18倍と、直近は1.2倍前後で推移しています。
一方、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、電気工事士の有効求人倍率は令和6年度時点で全国3.8倍となっており、全職業平均のおよそ3倍以上の水準です。求職者1人に対しておよそ3〜4社が採用枠を用意している計算となり、電気工事士の採用競争が激しい状況にあることがわかります。
この背景を理解したうえで、従来と同じ手法を漫然と続けるのではなく、採用のやり方そのものを見直す必要があると言えます。
参考:一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)について | 厚生労働省|厚生労働省
参考:電気工事士 - 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
企業間での人材獲得競争の激化
求人倍率が高いということは、それだけ企業間の人材獲得競争が激しいことを示しています。とくに建設関連全般では有効求人倍率がさらに高い水準となる時期もあり 、電気工事士は関連業種の中でも激しい人材の取り合いが起きています。
求職者は複数の企業から内定を得やすい立場にあるため、給与や休日といった待遇面はもちろん、職場の雰囲気や成長環境まで含めて比較検討します。そのため、従来と同じような求人票を出しているだけでは埋もれてしまい、求職者の目に留まることすら難しくなっています。自社ならではの魅力を明確にし、他社との違いを打ち出す工夫が、これまで以上に強く求められている状況です。
採用を成功させるための具体的な対策
厳しい採用環境の中で人材を確保するためには、ターゲットの拡大や環境の見直しが必要です。採用がうまくいかない企業に共通しがちなのが、「どんな人材が欲しいのか」というターゲット設定が曖昧なまま募集をかけてしまうことです。ターゲットが定まらないと打ち出す内容もぼやけ、求職者に響きません。ここでは、求める人物像を明確にしたうえで実践したい具体的な対策を提案します。
|
対策の方向性 |
実施すべき具体的なアクション |
|
ターゲットの拡大 |
未経験者や異業種からの転職者まで対象を広げ応募母数を増やすこと |
|
労働環境の改善 |
休日増加や残業削減、福利厚生の充実で働きやすさと定着率を高めること |
|
採用手法の多様化 |
専門求人媒体やSNSの活用と応募・面接のハードルを下げる工夫 |
未経験者や異業種からの採用枠拡大
有資格者や経験者だけをターゲットにしていると、応募の母数は増えません。そこで、異業種からの転職希望者や完全な未経験者までターゲットを広げることが効果的です。
未経験者を対象とする場合は、「無資格・未経験歓迎」「資格取得支援あり」といった一言を明確に打ち出すとよいでしょう。求職者は「自分にもできるのか」という不安から応募をためらうことが多いため、その不安を先回りして解消することが応募増につながります。
仕事内容は専門用語を並べるのではなく、どんな案件を担当しどんな働き方になるのかを箇条書きで具体的かつ簡潔に伝えると読まれやすくなります。入社後の研修やキャリアの見通しまで示すことで、新しい仕事に挑戦したい意欲的な層を惹きつけやすくなります。
【関連記事】電気工事士になるには?未経験から資格を取得して転職するステップを解説|ELECAREER(エレキャリア)
労働環境の改善と福利厚生の充実
求職者が企業を選ぶ際に重視するのは、給与だけでなく働きやすさです。休日日数の増加や有給休暇の取得推進、残業時間の削減といった労働環境の改善に取り組むことが求められます。また、住宅手当や家族手当などの福利厚生を充実させることで、長期的に安心して働ける会社であると印象づけられます。
あわせて意識したいのが、既存社員の定着です。せっかく採用しても定着しなければ人手不足は解消されません。今いる社員が長く働ける仕組みを整えることは、そのまま採用市場でのアピール材料にもなり、応募促進にも効果を発揮します。
専門求人媒体やSNSの積極的な活用
一般的な総合求人サイトだけでなく、電気工事士や建設業に特化した専門の求人媒体を活用することをおすすめします。専門媒体には業界に興味のある求職者が集まっているため、効率よくターゲットにアプローチしやすくなります。ハローワークや知人紹介、有料の求人サイトなど複数のルートを併用することも大切です。
加えて、応募や面接のハードルを下げる工夫も効果的です。職人は普段スーツを着る習慣がない人が多いため、「面接時は普段着でOK」と明記するだけで来社率が上がることがあります。「応募者全員面接」「学歴不問」といった一言も応募への心理的負担を軽減します。
企業の公式ホームページやSNSで職場の雰囲気や社員の声を継続的に発信し、入社後のイメージを具体的に持ってもらうことで、応募への不安を和らげる効果が期待できるでしょう。
まとめ
この記事の要点をまとめます。
· 採用が難しい理由は業界の高齢化や労働環境のイメージが影響している
· 有効求人倍率が3倍を超える売り手市場であり競争が激化している
· ターゲットを未経験者にも広げ採用基準を見直すことが重要である
· 休日増加や福利厚生の充実といった労働環境の改善が求められる
· 専門求人媒体やSNSを活用して自社の魅力を発信することが効果的である
自社の現状をしっかりと分析し、求職者に寄り添った採用活動を展開していきましょう。
執筆者詳細プロフィール
|
名前 |
Miho |
|
年齢 |
28歳 |
|
職種 |
電気・設備業界のキャリアアドバイザー |
|
所有資格 |
なし |
|
紹介文
|
転職エージェントをやっています。 若いので知識がないって思われがちですが、建設業界の知識はたくさんあるので、コラム書かせてもらってます。 あなたのキャリアアップもぜひ協力させてください。 年収UP、環境改善、プライベート充実のためのプランを提案させていただきます! |

