エネルギー管理士の難易度や合格率は?勉強時間や電験三種との比較も解説
2026/05/20
投稿者:elecareer_staff
エネルギー管理士の資格取得を考えているものの、試験の難易度が高そうで不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、これからエネルギー管理士を目指す方に向けて、試験の合格率や必要な勉強時間をわかりやすく解説します。
読み終わると、ご自身の現状から試験合格に向けた道筋が明確になり、効率的な学習計画を立てられるようになります。
エネルギー管理士とは?
エネルギー管理士とは、規定量以上のエネルギー(電気や燃料など)を使用する工場や事業場において、エネルギーの使用合理化を監視・管理するための国家資格です。「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」に基づき、一定規模以上の特定事業者にはエネルギー管理士の免状を持つ「エネルギー管理主任者」の選任が義務付けられています。
主な役割は、エネルギー消費設備の保守点検や維持、使用方法の改善・指導を行い、組織全体の省エネを推進することです。昨今の脱炭素社会の実現(カーボンニュートラル)に向けた動きにより、企業の省エネ対策はますます重要視されており、エネルギー管理士は専門的な知見から企業の環境経営を支えるキーマンとして、設備管理業界で高く評価されています。
エネルギー管理士試験の難易度と合格率
エネルギー管理士の試験を受けるにあたって、まずは全体的な難易度や合格率の傾向を把握しておくことが大事です。取得ルートは大きく分けて二つあり、それぞれの合格率には明確な違いが存在します。以下の表に、国家試験ルートと認定研修ルートの合格率の目安をまとめました。
| 取得ルート | 合格率の目安 | 受験の主な条件 | 特徴 |
| 国家試験 | 平均28%、近年は30%台で推移 | 受験資格は特になし(免状交付には実務経験1年が必要) | 試験範囲が広く、計算問題などの専門知識が求められるため難易度はやや高い水準にあります。 |
| 認定研修 | 約60%前後 | ※年度によっては異なる エネルギー使用の合理化に関する実務経験が3年以上必要 | 講習を受けた後の修了試験となるため、国家試験と比較して合格しやすい傾向となっています。 |
国家試験の合格率は30%台で推移
エネルギー管理士の国家試験における合格率は、平均28%で近年は30%台で推移しています。設備管理などの技術系資格の中では、比較的難しい部類に入ると言えるでしょう。これほど合格率が低い理由としては、出題範囲が広く、熱力学や電気工学などの専門的な知識が深く問われるためです。
とくに複雑な計算問題が多く出題されるため、基礎的な理数系の知識がないと問題の意味を理解するだけでも時間がかかってしまいます。しかし、各科目で60パーセント以上の点数を取れれば科目合格となる制度があるため、時間をかければ着実に合格へと近づくことができるはずです。
認定研修による取得ルートは合格率約60%
国家試験を受ける代わりに、「エネルギー管理研修」を受講して資格を取得するルートもあります。こちらは、エネルギーの使用の合理化に関する実務経験が3年以上ある方を対象としています。以前は指定会場で6日間の講義を受ける形式でしたが、現在はオンラインで講義動画を自分のペースで視聴した後、指定会場で1日の修了試験を受験する形式に変更されています。この修了試験の合格率は平均して約60パーセント前後と、国家試験の合格率と比べて高い傾向にあります。ただし、年度によっては約52%まで合格率が下がったこともあるため油断は禁物です。
- 研修を受講するメリット
講義で出題範囲を一通りカバーするため、完全に独学で進めるよりも学習の道筋が立てやすい点が挙げられます。しかし、出題範囲自体は国家試験と同じ4課目であり、決して勉強範囲が狭くなるわけではありません。また、現在の修了試験は記述式ではなく、国家試験とほぼ同じマークシート方式で実施されます。そのため、「講義の動画を視聴するだけ」で合格できるわけではなく、広範囲な試験に対応するための過去問演習など、しっかりとした自主学習が重要になります。 - 研修ルートを選択する際には
費用や制度の違いにも注意が必要です。国家試験の受験料が17,000円であるのに対し、研修の受講料は70,000円(教材込み。課目免除対象者は50,000円)と、国家試験に比べて大きく費用がかさみます。また、科目合格の有効期限についても違いがあり、国家試験では3年間有効ですが、研修の修了試験の場合は翌年(1年間)限りしか免除されません。
実務経験の条件を満たしており、これらの費用負担や免除期間の違いに納得できるのであれば、オンライン講義で学習のペースを作りやすいエネルギー管理研修ルートを選択するのもひとつの有効な手段となるでしょう。
電験三種やほかの資格との難易度比較
エネルギー管理士の難易度をより具体的にイメージするために、ほかの有名な技術系資格と比較してみましょう。設備管理の分野でよく知られている「電験三種(第三種電気主任技術者)」や「公害防止管理者」との違いを以下の表に整理しました。
| 資格名 | 難易度の目安 | 必要な勉強時間の目安 | 出題の主な特徴 |
| 電験三種 | かなり高い | 約1,000時間 | 電気に関する出題範囲が非常に広く、深い専門知識と応用力が求められます。 |
| エネルギー管理士 | 高い | 約300〜800時間 | 熱分野と電気分野に分かれており、計算問題が多いものの範囲はある程度絞られます。 |
| 公害防止管理者 |
やや高い ※区分により難易度が変わる |
約100〜200時間 | 暗記問題の割合が多いものの、区分によっては計算問題が合否のカギとなることもあります。 |
電験三種とエネルギー管理士の難易度の違い
設備管理の資格としてよく並べられる電験三種と比べると、エネルギー管理士の方が難易度は少し低いと評価される傾向にあります。電験三種は電気工学全般の幅広い知識が求められ、合格までに約1,000時間の勉強が必要だと言われているためです。
一方で、エネルギー管理士の電気分野は出題範囲がある程度重なっており、電験三種を取得済みの方であれば比較的スムーズに学習を進められます。電験三種の合格者であれば、エネルギー管理士の学習時間を大きく短縮できるケースも多いと考えられます。
これから両方の取得を目指す場合は、基礎となる電験三種を先に勉強するか、難易度の少し低いエネルギー管理士から挑戦するか、ご自身のレベルに合わせて計画を立てると良いでしょう。
公害防止管理者との難易度比較
公害防止管理者の試験は法令や環境対策技術、測定手法など幅広い知識を問う暗記問題が多くを占めており、理数系の計算が苦手な方でも比較的取り組みやすい特徴があります。ただし、大気関係など一部の区分では燃焼計算をはじめとする計算問題が合否のカギとなることもあるため、受験する区分の出題傾向は事前に確認しておきましょう。
それに対してエネルギー管理士は、理数系の計算問題が重視される傾向が見られます。とくに電気分野では電気回路や制御理論に関する高度な計算力が求められ、熱分野でも熱力学や流体力学の計算問題が出題されます。ただし、熱分野は電気分野に比べると計算問題の比率が低く文章問題が中心となるため、分野の選択によって求められる計算力の水準は異なります。
「熱分野」と「電気分野」どちらの難易度が低い?
エネルギー管理士の試験では、受験時に「熱分野」か「電気分野」のいずれかを選択する必要があります。どちらを選んでも取得できる資格そのものは同じであるため、ご自身が勉強しやすい分野を選ぶことが重要です。両分野の試験科目の違いを以下の表にまとめました。
| 選択分野 | 共通科目 | 専門科目 | 適している方の特徴 |
| 熱分野 | エネルギー総合管理及び法規 | 熱と流体の流れの基礎、燃料と燃焼、熱利用設備及びその管理 | ボイラーなどの実務経験がある方や、計算より暗記が得意な方。 |
| 電気分野 | エネルギー総合管理及び法規 | 電気の基礎、電気設備及び機器、電力応用 | 電気関係の実務経験がある方や、電験三種などを取得済みの方。 |
自分の基礎知識がある分野を選ぶのがおすすめ
一般的には、熱分野の方が電気分野よりも合格しやすいとされています。過去に公表されていた分野別合格率でも、熱分野が電気分野を上回る年度が多い傾向にありました。ただし、どちらの分野が自分にとって取り組みやすいかは、受験者の専門知識や実務経験によって大きく異なります。
そのため、これまでの仕事の経験や学生時代に学んだ知識を活かせる分野を選ぶのが、合格への近道となります。たとえば、日常的にボイラーや空調設備の管理に関わっている方であれば、熱分野の専門用語にも馴染みがあるため学習がスムーズに進むでしょう。
逆に、電気設備のメンテナンスを行っている方や電気工学を学んだ経験がある方は、電気分野を選ぶことで勉強時間を大幅に抑えられます。ご自身の強みがどちらの分野にあるかを振り返り、有利に戦える方を選択するとよいでしょう。
初心者にとっての分野の選び方
これまでに設備管理の実務経験がなく、理数系の知識にも自信がない初心者の場合は、熱分野を選択する方が多いと言われています。電気分野は抽象的な理論や複雑な数式を理解する必要があり、基礎知識がないと最初につまずきやすいためです。
熱分野も計算問題は出題されますが、公式を暗記して当てはめることで解ける問題の割合が比較的多いという特徴があります。ただし、課目IIの熱力学・流体力学については、公式の暗記だけでなく原理の理解が求められる計算問題も出題されます。
また、燃料や燃焼の仕組みなどは生活にも身近であり、初心者でもイメージを掴みやすいでしょう。どちらを選ぶか迷った際は、書店などで両方の過去問題集をパラパラとめくってみて、自分にとって分かりやすそうだと感じる方を選ぶようにしてみてください。
エネルギー管理士に合格するための勉強時間
資格試験に挑戦するうえで、自分にどれくらいの勉強時間が必要なのか目安を把握しておくことは大切です。現在の知識レベルによって必要な勉強時間は大きく変わってくるため、以下の表で目安を確認しておきましょう。
| 受験者の知識レベル | 必要な勉強時間の目安 | 学習期間の目安(1日2時間勉強した場合) |
| 関連知識がまったくない初学者 | 約500時間〜800時間 | 約8ヶ月〜13ヶ月 |
| 理系出身で基礎知識がある方 | 約300時間〜500時間 | 約5ヶ月〜8ヶ月 |
| 電験三種などをすでに取得済みの方 | 約100時間〜200時間 | 約2ヶ月〜3ヶ月 |
一般的な勉強時間の目安は300時間から800時間
関連する知識を持たない初学者がエネルギー管理士に合格するためには、一般的に500時間から800時間程度の勉強時間が必要だとされています。理数系の基礎知識がある方でも、試験特有の出題形式に慣れるために300時間から500時間ほどは確保しておきたいところです。毎日2時間の勉強を休まず続けたとしても、約8~13ヶ月の期間がかかる計算になります。
社会人が働きながらこれだけの時間を捻出するのは簡単なことではないため、計画的に学習を進める忍耐力が求められます。試験日から逆算して、無理のないペースで学習を継続できるスケジュールを組むことが合格への第一歩と言えるでしょう。
勉強時間を短縮するためのポイント
限られた時間の中で合格を目指すには、出題傾向を分析して効率よく学習を進めることが重要です。エネルギー管理士の試験は満点を取る必要はなく、各科目で60パーセント以上の得点を確保すれば合格となる仕組みです。そのため、難問や奇問に時間をかけすぎるのではなく、頻出される基本的な問題を確実に正解できるように学習範囲を絞る工夫が求められます。
また、通勤時間や休憩時間などのスキマ時間を活用して、法規などの暗記科目を少しずつ進めることも全体の時間短縮につながるでしょう。完璧を目指さず、合格ラインを超えるための戦略的な学習を意識してみてください。
エネルギー管理士の難易度を乗り越える勉強方法
エネルギー管理士の高い壁を乗り越えるためには、ただやみくもにテキストを読むだけではなく、効果的な勉強方法を取り入れる必要があります。合格に近づくための具体的なステップを以下の表にまとめました。
| 学習のステップ | 目的 | 取り組み方のコツ |
| 基礎知識のインプット | 試験範囲の全体像と基本用語を把握する | 最初からすべて理解しようとせず、テキストを早く一周読み終えることを優先します。 |
| 過去問題の反復演習 | 出題傾向を掴み、解法パターンを暗記する | 間違えた問題には印をつけ、解説を読み込んでから自力で解けるようになるまで繰り返します。 |
| 苦手分野の克服 | 合格ラインである60パーセントを安定して超える | 得点源になる頻出分野を優先的に復習し、どうしても理解できない難問は深追いしないようにします。 |
過去問を繰り返し解く勉強方法
エネルギー管理士の試験対策において、過去問を使った反復学習は非常に効果的だと考えられています。過去の問題を見直すと、毎年似たような計算パターンや重要用語が繰り返し問われている傾向に気づくでしょう。
単に問題を解いて答え合わせをするのではなく、なぜその答えになるのかという解説のプロセスをしっかりと理解することが大事です。間違えた問題はテキストに戻って関連する知識を補強し、自力で正解を導き出せるようになるまで何度も解き直すことをおすすめします。過去問を5年分から10年分ほど解き進めることで、実際の試験の難易度や時間配分の感覚が自然と身についてきます。
科目合格制度を活用した長期計画
エネルギー管理士の試験には科目合格制度が用意されており、合格した科目は合格した年を含めて3年間(翌年と翌々年の試験)は免除される仕組みです。4科目すべてを1年で合格するのは負担が大きいため、2年から3年かけて少しずつ合格を積み上げていく計画を立てるのも賢い選択と言えます。たとえば、1年目は暗記で得点しやすい法規と、計算問題が多い難関の専門科目をセットで受験し、2年目に残りの科目をクリアするという戦略が考えられます。
仕事や家庭の都合でまとまった勉強時間が取れない方ほど、この制度を上手に活用して学習の負担を分散させることがおすすめです。ご自身の生活リズムに合わせて、無理なく継続できる長期的な計画を練ってみてください。
エネルギー管理士に関するよくある質問
エネルギー管理士の試験に向けて学習を始める前に、多くの方が抱きやすい疑問についてお答えします。受験の不安を少しでも和らげるために、以下の表に代表的な質問と回答を整理しました。
| よくある質問 | 回答の要点 |
| 独学でも合格できる難易度ですか? | 計画的に学習を進めれば独学でも十分に合格を目指せます。ただし、計算の理解に時間がかかる場合は通信講座の併用も有効です。 |
| 文系でも取得できる難易度ですか? | 基礎から物理や数学を学び直す時間は必要ですが、合格している文系出身者も多く、決して不可能な難易度ではありません。 |
| 将来性や需要はある資格ですか? | 省エネの推進は社会的な課題であり、法律で設置が義務付けられている工場も多いため、将来にわたって高い需要が見込まれます。 |
独学でも合格できる難易度ですか?
エネルギー管理士は、正しい勉強法と継続力があれば独学でも十分に合格を狙える難易度です。実際に、市販のテキストや過去問題集だけを活用して合格を勝ち取っている方は数多くいらっしゃいます。過去問題集の解説が充実しているものを選び、分からない箇所をひとつずつ潰していく地道な作業が独学成功の鍵となります。
ただし、計算問題の解説を何度読んでも理解できない場合や、一人では学習のモチベーションが保てないと感じることも少なくありません。そうした場合は無理に独学にこだわらず、分かりやすい動画解説が含まれる通信講座などを活用して効率を上げることも検討してみてください。
文系でも取得できる難易度ですか?
文系出身の方であっても、エネルギー管理士の資格を取得することはもちろん可能です。試験では熱力学や電気工学といった理数系の知識が問われるため、理系出身の方に比べると初期の理解に時間がかかるのは事実でしょう。
しかし、中学校や高校レベルの数学や物理の基礎から丁寧に学び直していけば、決して手の届かない難易度ではありません。実際に文系の状態から一から勉強をスタートし、試験に合格して設備管理などの現場で活躍している方もいらっしゃいます。少し時間はかかるかもしれませんが、焦らずに基礎固めから着実に取り組むことで、文系の方でも合格ラインに到達できるはずです。
まとめ
この記事の要点をまとめます。
- 国家試験の近年の合格率は30%台で推移している
- 実務経験がある方は合格率が高い認定研修ルートを選べる
- 電験三種と比較すると難易度は少し低い傾向にある
- 合格に必要な勉強時間の目安は約300〜800時間となる
エネルギー管理士は難易度が高い資格ではありますが、計画的な学習と正しい対策を行えば十分に合格を目指せるため、あきらめずに挑戦してみてください。

