11月28日「ブラックフライデー」に考える、商業施設の電気設備と省エネ設計の裏側
2025/11/28
投稿者:elecareer_staff
今日は11月28日、年末商戦の幕開けとなる「ブラックフライデー」です。
この日、商業施設や小売店は一年で最も多くの顧客で賑わい、照明、空調、POSレジ、デジタルサイネージ、そしてセキュリティシステムなど、すべての電気設備がフル稼働します。お客様の購買意欲を最大限に引き出し、快適な買い物体験を提供するためには、電気設備が「止まらない」「ムラがない」「経済的である」ことが絶対条件です。
ブラックフライデーの華やかな賑わいの裏側で、施設の安定稼働を支え、同時に利益を最大化する省エネ設計を実現しているのは、他でもない電気設備技術者です。今回は、商業施設特有の電気設備需要と、その設計・保守における重要ポイントを解説します。
1. 賑わいを支える「電力需要ピーク」への対応
ブラックフライデーの期間中、商業施設は通常の休日以上に高い電力負荷に見舞われます。この短期間のピークに対応しつつ、契約電力を超えない(デマンド超過をしない)ための対策は、電気設計の肝となります。
- ゾーン別デマンド管理の徹底
施設全体のデマンドコントローラーだけでなく、フロアやテナント、あるいは照明と空調など、ゾーンごとに電力使用量を監視し、優先度の低い負荷を自動で抑制するシステム設計が必要です。この繊細な制御プログラムの設定と調整は、電気設備技術者の専門スキルが問われます。
近年ではAIを活用したデマンド予測システムやBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)と連携し、天候や時間帯、イベント情報まで加味してピークを平準化する技術も普及しつつあります。
- 高効率な電源機器の採用
常にON状態にあるデジタルサイネージやセキュリティカメラ、POSシステムの電源効率が低いと、わずかな電力消費でも施設全体では大きな損失となります。高効率な電源ユニットやUPS(無停電電源装置)を選定することで、待機電力も含めたロスカットを実現します。
UPSは「常時商用」「常時インバータ」など方式が異なり、商業施設ではレジ・サーバーの安定性を優先して常時インバータ方式が採用されるケースも増えています。これらの方式選定は技術者の経験が大きく影響します。
2. 「買い物体験」を左右する照明と空調の連携
お客様が長時間快適に過ごし、商品を購入したくなる環境を作るための照明と空調は、電気設備技術者の「演出」の領域です。
- LED照明の進化と制御
すでに普及しているLED照明ですが、最近は色温度や調光機能(DALI、DMXなどの通信制御)を時間帯や商品、イベントに応じて自動で変えるシステムの設計が主流です。これらの制御システムを組む際の通信線の配線、ノイズ対策、そしてプログラミングは、すべて電気設備技術者の仕事です。
特に大型商業施設では「シーン制御」を取り入れ、朝は明るく白い光、夕方は暖色系など、1日の流れに合わせて照明を細かく制御することで、滞在時間を自然に伸ばす工夫が行われています。
- 「発熱負荷」を考慮した空調設計
商業施設の空調設計では、外気温だけでなく、「照明器具の発熱」と「来店客の体熱」という内部発熱負荷を正確に見積もることが重要です。特に高出力のスポット照明を使用する場合、その発熱を見越した適切な空調電源と制御回路を設計しなければ、室温が不安定になり快適性が損なわれます。
顧客が増える時間帯を想定した「事前冷房」や、CO₂センサーと連動する外気制御など、空調の制御高度化も進んでいます。これらを電源側から支える設計は、電気技術者の緻密な計算と経験が不可欠です。
3. 年末繁忙期に備える「保守・点検」の重要性
一度システムがダウンすれば、ブラックフライデーでは数億円の機会損失につながる可能性があります。年末繁忙期に故障を出さないための予防保全(メンテナンス)計画は、電気設備技術者の最も重要な責務です。
- 重要設備(受変電設備)の徹底点検
キュービクルや変圧器、制御盤などは、人の多い営業日には点検できないため、繁忙期直前の11月に絶縁抵抗、継電器動作試験などを徹底して行い、設備を万全の状態にしておく必要があります。
特に商業施設では、電源トラブルが「テナント全体の営業停止」につながるため、受電方式(ループ受電・スポットネットワーク受電など)を見直し、より冗長性の高い方式へ更新するケースも増えています。
- 非常用発電機・UPSの動作確認
瞬停や停電が発生した場合に、レジやセキュリティを維持するための非常用電源やUPSが確実に作動することを確認します。特にUPSのバッテリーは使用年数に応じた劣化が進むため、メーカー推奨の交換時期を逃さず、計画的に更新する提案力が求められます。
ブラックフライデー直前には「模擬停電試験」を行う施設もあり、事前の不具合発見に大きく貢献します。
まとめ
ブラックフライデーの成功は、華やかな販促だけでなく、その裏側にある信頼性の高い電気インフラによって支えられています。商業施設の電気設備技術者は、お客様の快適性、店舗の売上、そして施設の省エネ・経済性のすべてに責任を持つ、非常にやりがいのある役割を担っています。
電力需要のピークをスマートに管理し、高度な制御システムを設計・構築するスキルは、業界で極めて高い評価を得られます。
電気設備の安定運用は、表には見えない“縁の下の力持ち”の仕事ですが、商業施設の価値を大きく左右する重要な役割です。
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