施工管理技士の「種類」:電気・設備分野で広がるキャリアパス
2025/11/04
投稿者:elecareer_staff
建設現場を支える国家資格「施工管理技士」には、様々な種類があります。特に、インフラや産業を支える電気・設備業界では、専門分野に特化した資格の取得がキャリアアップに直結します。
このコラムでは、電気・設備業界で働く人が取得を検討すべき施工管理技士の種類と、それぞれの専門性、そして自身のキャリアパスを考える上での選び方について解説します。
電気・設備業界と関係の深い施工管理技士の「種類」【主要4資格】
電気・設備業界で特に重要となる、以下の4つの主要な施工管理技士の「種類」を詳しく見ていきましょう。
- 電気工事施工管理技
発電・変電設備、送配電設備、工場・ビル・住宅などの電気設備工事全般の施工管理を行います。再生可能エネルギー関連の工事が増えている現代において、非常に需要が高い資格です。電気工事士資格を持つ方が、管理職や現場代理人を目指す場合に、最も自然なステップアップとなる資格です。
- 管工事施工管理技士
空調設備、給排水設備、衛生設備、ガス設備などの管工事全般の施工管理を行います。快適で安全な生活環境を支える重要な設備工事に特化しています。冷暖房や換気といった環境設備の需要が高まる現代、電気設備と並行して求められることが非常に多い資格です。
- 建築施工管理技士
住宅、ビル、マンション、商業施設などの建築工事全般の施工管理を行います。特に大規模な建物では、建築工事の進捗と、電気・管工事などの設備工事との干渉を防ぎ、プロジェクト全体を統括する役割を担います。この資格は、設備系資格(電気・管)と組み合わせることで、より大きな相乗効果を発揮します。
- 電気通信工事施工管理技士
インターネット、電話、放送、移動体通信などの電気通信設備の設置・維持管理工事の施工管理を行います。IoTやAIの普及により、今後も需要が高まると予想される比較的新しい分野の資格です。スマートビルディングやデータセンターの需要急増に伴い、電気設備工事との連携は不可欠となっており、将来性が非常に高いです。
これらの資格には、それぞれ1級と2級があり、管理できる工事の規模や範囲が異なります。
各「種類」の専門性と役割【現場における具体的な立ち位置】
それぞれの施工管理技士は、特定の工事分野に特化した専門知識と管理能力が求められます。
例えば、電気工事施工管理技士は、配線や電圧、電流、そして感電防止対策など、電気に関する深い知識と安全管理能力が不可欠です。一方、管工事施工管理技士は、配管の材質や水圧、流量、衛生基準など、設備に関する専門知識が求められます。
現場での役割も、それぞれの種類の専門性によって異なります。
- 電気工事施工管理技士は、高電圧を扱う設備や大規模な送電網など、高度な電気設備を安全に、そして品質を保ちながら完成させる司令塔です。特に、電源容量の計算や、変電設備の導入など、電気の根幹に関わる責任を負います。
- 管工事施工管理技士は、建物の心臓部ともいえる空調や給排水システムを、計画通りに、かつ法令に準拠して設置する重要な役割を担います。近年重視される省エネ性能や環境性能を担保するための技術管理が求められます。
- 建築施工管理技士は、建物の構造体から内装、設備に至るまで、全体の工程を管理する「総合プロデューサー」のような役割を果たします。各設備工事(電気、管)の工期を調整し、全体工期の遅延を防ぐためのリスクマネジメントが主要な業務です。
- 電気通信工事施工管理技士は、情報インフラを支える通信設備のスペシャリストとして、高度な技術と安全管理が求められます。光ファイバーの敷設や、ビルのネットワーク設計など、デジタル時代に不可欠な通信環境の構築を担います。
あなたに合った「種類」の選び方【将来の目標から逆算する】
どの施工管理技士の種類を選ぶかは、自身のこれまでの「実務経験」や将来目指すキャリアによって変わってきます。
- 現在の仕事内容に合わせる(最も確実なルート)
今現在、自分がどのような工事に携わっているか、今後どのような分野の工事でキャリアを積んでいきたいかを考えるのが一般的です。例えば、ビルや商業施設の電気設備会社に勤務しているなら、電気工事施工管理技士を目指すのが自然な流れでしょう。実務経験が受験資格に直結するため、最も効率的かつ確実な資格取得ルートです。
- 需要と将来性から選ぶ
各種類の将来的な需要も考慮に入れると良いでしょう。例えば、再生可能エネルギーや情報通信技術の発展に伴い、電気工事や電気通信工事の需要は高まると予想されます。特に、IoTやAI技術の進展により、「電気設備」と「情報通信設備」の両方の知識を求める求人が増加しています。
- キャリアチェンジを視野に入れる
将来的に別の分野の工事に携わりたい場合は、その分野の施工管理技士資格の取得を検討することも可能です。ただし、その場合は新たな分野での実務経験を積む必要があることに注意が必要です。例えば、電気工事から管工事へ移る場合、二級から実務経験を積み直す必要が生じるため、時間と労力がかかることを覚悟しておく必要があります。
複数資格の取得とキャリアアップ【市場価値を高めるダブルライセンス】
一つの種類の施工管理技士資格を取得した後、さらに他の種類の資格取得を目指すことで、自身の市場価値を高めることができます。
例えば、電気工事施工管理技士が管工事施工管理技士の資格も取得すれば、より幅広い設備工事に対応できる人材として重宝されるでしょう。また、建築工事の現場では、電気・設備の両方の知識を持つ人材は非常に高く評価されます。
複数の資格を持つことで、携われるプロジェクトの幅が広がり、より大規模な工事や複雑な請負金額の案件に関わるチャンスが増え、結果的に年収アップにも繋がりやすくなります。
まとめ:専門性を深め、キャリアを広げる「種類」の選択
施工管理技士には様々な「種類」があり、それぞれが特定の建設分野におけるプロフェッショナルを証明する国家資格です。自身の「実務経験」や興味、そして将来のキャリアパスを考慮して適切な種類を選択することが、施工管理技士としての成功への第一歩となります。
一つの種類を極めるもよし、複数の種類を取得して対応力を高めるもよし。あなたの専門性を深め、電気・設備業界でより広い活躍の場を見つけるために、施工管理技士の種類を理解し、賢く選択していきましょう。