11月22日「いい夫婦の日」をヒントに考える、設備保守における“相性のいい”機器組み合わせ

11月22日「いい夫婦の日」をヒントに考える、設備保守における“相性のいい”機器組み合わせ

2025/11/21

投稿者:elecareer_staff

明日は1122日、「いい(11)ふうふ(22)」の語呂合わせで「いい夫婦の日」です。

この記念日は、人間関係だけでなく、皆さんが扱う電気設備にも通じる重要な教訓を与えてくれます。それは、「設備機器の相性」です。建物の設備機器は、単体で高性能であること以上に、互いに連携し、長期間安定して稼働する「相性の良さ」が保守・運用において最も重要になります。

相性の悪い機器を組み合わせると、故障頻度の増加、電力効率の悪化、そして高額な修理費用という「不仲」な結果を招きます。設備保守のプロは、機器の仕様だけでなく、相互作用(インターフェース)までを管理する高度な役割を担っています。

今回は、「いい夫婦の日」をヒントに、設備保守のプロである電気設備技術者が知っておくべき「相性のいい」機器の選び方とメンテナンスの極意をご紹介します。

 

 

 

1. 「パワーと制御」の夫婦:インバーターとモーターの調和

モーターを省エネで稼働させるための心臓部であるインバーター(制御機器)と、実際に動力を生み出すモーター(駆動機器)は、設備の世界における最も重要な「夫婦」です。

 

  • 周波数と電圧の適正マッチング

インバーターが供給する可変周波数と電圧が、モーターの定格仕様と完全に一致していることが大前提です。特に古いモーターに最新のインバーターを組み合わせる際、ノイズや過熱が発生しないよう、メーカーの互換性リストを確認する専門性が求められます。インバーターのパラメータ設定が、モーターの許容範囲外である場合、ベアリングの早期劣化や巻線の絶縁破壊を引き起こすリスクがあるため、初期設定時の検証は極めて重要です。

 

  • 高調波とノイズ対策

インバーターは電力効率を高めますが、同時に高調波ノイズを発生させ、他の精密機器や通信設備に悪影響を及ぼすことがあります。インバーター設置時に高調波抑制フィルターやリアクトルを適切に選定・施工する技術は、円満な設備環境を作るための必須スキルです。

特に医療施設やデータセンターなど、電源品質が重要視される現場では、JISやIEEEの高調波規制値をクリアするために、アクティブフィルターなどの高度な対策が必要となる場合があります。ノイズの回り込みを防ぐための接地(アース)の適正管理も、この「夫婦」が調和するための基本中の基本です。

 

 

 

2. 「光と影」の夫婦:LED照明と調光制御システム

最新のLED照明は、省エネ性と長寿命が魅力ですが、その調光システム(明るさの調整)は、従来の電球とは仕組みが異なります。この新しい技術への対応は、電気工事士のスキルアップデートを強く要求しています。

 

  • 「位相制御」と「PWM制御」の相性

調光器には、電圧の波形を削る位相制御や、ON/OFFの頻度を変えるPWM制御など、複数の方式があります。LED器具と調光器が対応する調光方式や通信規格(DALIなど)を間違えると、フリッカー(ちらつき)や調光範囲の異常、最悪の場合は故障につながります。

特に位相制御は電源ラインを通じてノイズを発生させやすいため、照明器具側に適切な電子回路が内蔵されているかを確認し、システム全体としてノイズ耐性を確保する必要があります。

 

  • センサーと照明の協調

照度センサーや人感センサーと連動させて自動調光を行う場合、センサーが送る信号(弱電)と照明制御盤の「通信プロトコル」を合わせる必要があります。この通信・制御系統の設計は、電気設備技術者の新しい付加価値領域です。

オフィスビルや商業施設では、IoTを活用した照明ネットワークの構築が進んでおり、設置だけでなく、制御ソフトウェアの設定やデバッグといったITスキルも求められ始めています。センサーの配置、感度設定、そして照明器具とのアドレス設定は、省エネ効果を最大限に引き出すための重要な要素です。

 

 

 

3. 「不仲」を防ぐ!定期点検という「夫婦会議」

どんなに相性の良い機器でも、メンテナンスを怠ると「不仲」になります。定期的な保守・点検は、機器の寿命を延ばし、突発的な故障を防ぐ「夫婦会議」のようなものです。現代の保全は、故障してから直す「事後保全」から、予兆を捉えて修理する「予知保全」へと進化しています。

 

  • 接続端子の「緩み」チェック

設備の振動や温度変化で、ネジや端子が緩むことがあります。このわずかな緩みが、接触不良や発熱、最終的な事故の原因となります。トルク管理による点検と増し締めは、設備の寿命を延ばす最も基本的な作業です。

近年では、サーモグラフィ(赤外線カメラ)を用いて、盤内の異常な発熱箇所を非接触でチェックし、緩みや接触不良を早期に発見する予知保全の手法が一般的になっています。この手法は、活線状態(通電中)で点検できるため、効率的かつ安全です。

 

  • 絶縁抵抗測定による早期発見

ケーブルの絶縁劣化は、機器同士の相性に関わらず発生するリスクです。定期的な絶縁抵抗測定により、目に見えない劣化を早期に発見・修繕することが、設備の「長寿」に繋がります。

特に、水分や油分、振動にさらされやすい環境や、太陽光発電設備などの直流(DC)ケーブルは、絶縁劣化が進みやすいため、専門的な測定器を用いた頻繁なチェックが不可欠です。劣化が進行したケーブルは、最終的に短絡(ショート)や火災に繋がるため、予知保全の観点から最も重要なチェック項目の一つです。

 

 

 

まとめ

「いい夫婦の日」から学べるのは、設備保守の仕事が、機器の能力を最大限に引き出し、安定した稼働を維持するための「相性調整役」であるということです。インバーター、照明制御、そしてケーブル一本一本に至るまで、その組み合わせと状態を最適化する技術こそ、プロの電気設備技術者の真価です。

設備の「長寿」と「円満」を実現する、高度な保守・点検スキルを身につけ、安定した需要と高い専門性が求められる分野で活躍したい方は、ぜひELECAREERで次のキャリアを見つけてみませんか。

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