【業務効率化】施工管理技士の残業を減らすためのDX活用術
2025/10/22
投稿者:elecareer_staff
「施工管理技士は激務」というイメージが定着していませんか? 書類作成、工程管理、品質管理、安全管理など、多岐にわたる業務に追われ、残業が常態化している現場も少なくありません。しかし、デジタル技術(DX)を賢く活用することで、その働き方は大きく変わります。今回は、施工管理技士の皆さんが残業を減らし、プライベートの時間を確保するためのDX活用術を、より実践的な内容でご紹介します。
1. 書類作成・情報共有の時間を劇的に短縮!クラウドツールとアプリの活用
現場で最も時間を取られる作業の一つが、日報や写真台帳などの作成と管理です。これらの「非生産時間」を削減することが、定時退社への第一歩です。
- スマホやタブレットで現場から直接入力
施工管理アプリやクラウドサービスを活用すれば、現場で撮影した写真にメモを書き込んだり、その場でチェックリストに入力したりできます。事務所に戻ってからPCで改めて作業する手間が省け、移動時間や待ち時間を有効活用できます。特に電気設備工事では、配線ルートや機器設置位置の写真記録が多いため、写真と紐づいた報告書を自動生成できるアプリの導入効果は絶大です。
- 最新情報を関係者全員で共有
日報や図面、議事録などをクラウドに保存すれば、関係者全員がリアルタイムで最新の情報にアクセスできます。「書類が見つからない」「最新版がどれか分からない」といった無駄な時間をなくし、報連相のスピードが格段に向上します。これにより、意思決定の迅速化と手戻り防止にも繋がります。
チャット機能やタスク管理機能が一体となったプラットフォームを利用することで、メールや電話のやり取りが減り、コミュニケーションコストを大幅に削減できます。
2. 現場の「見える化」で手戻りをゼロに!BIM/CIMと遠隔モニタリング
現場の状況を正確に把握し、問題発生を未然に防ぐことが、手戻り防止と工期遵守の鍵となります。デジタル技術による現場の「透明化」は、予期せぬトラブルによる残業を防ぐ最大の防御策です。
- BIM/CIMで設計ミスを事前に発見
3Dモデルで建物の情報を管理するBIM/CIMを導入すれば、着工前に設計上の不整合や配線の干渉などをシミュレーションで事前に発見できます。手戻りによる余計なコストや作業時間を大幅に削減できます。
特に電気設備のケーブルラックやダクトは、他の設備と干渉しやすく、手戻りの原因になりがちです。BIM/CIMの活用により、これらの3次元的な干渉リスクを事前に潰すことが可能です。
- ドローンやウェアラブルカメラで遠隔監視
広大な現場の進捗状況はドローンで空撮し、全体像を効率的に把握。職人さんが装着するウェアラブルカメラの映像をリアルタイムで確認すれば、遠隔からでも的確な指示を出せます。全ての現場に足を運ぶ必要がなくなり、移動時間の削減にもつながります。
この遠隔臨場(リモートでの立ち会い)は、特に地方の現場を複数兼務する監理技術者にとって、移動時間をゼロにする、最も効果の高いDX活用法です。
3. 「アナログ業務」をデジタル化!勤怠管理・資材発注もアプリで完結
施工管理の業務は、現場管理だけではありません。勤怠管理や資材の発注業務もデジタル化が可能です。これらの周辺業務をアプリに任せることで、事務作業にかかる時間を週単位で削減できます。
- 勤怠管理もスマホで
現場に設置したQRコードを読み取るだけで出勤・退勤の打刻が完了する勤怠管理アプリを使えば、毎日のタイムカード集計作業が不要になります。
さらに、アプリの打刻データと工数管理を連携させれば、どの作業にどれだけの時間がかかったか(原価管理)も自動で把握でき、プロジェクトごとの収益性の分析にも役立てられます。
- 資材発注システムとの連携
現場で資材の在庫を確認し、スマホから直接発注することで、電話やFAXでのやり取りが不要になります。これにより、発注ミスや発注漏れを防ぎ、業務を効率化できます。資材納入の進捗もアプリ上で確認できるため、資材の到着を待つ時間が無駄になりません。
電気設備資材は種類が多く、納期がバラつきやすいため、アプリ上で発注から納入までのステータスを一元管理できるシステムは、工期の遅延リスクを大幅に低減します。
4. 補助金制度を賢く利用して、DXツール導入の負担を軽減
「DXツールは費用がかかるから…」と導入をためらっている企業も多いかもしれません。しかし、国や自治体はDX推進のための補助金制度を設けています。
- IT導入補助金など
ITツールやソフトウェアの導入費用を一部補助してくれる制度があり、これらを活用することでコストを抑えることができます。まずは少額から始められるツールを導入し、効果を実感してから本格的なDXに踏み出すのがおすすめです。
特に、クラウド型の施工管理システムや経費精算システムなど、生産性向上に直結するツールは、補助金の対象となりやすい傾向があります。
補助金制度の最新情報は、公式ホームページや専門のコンサルタントに確認することが重要です。
また、全社導入ではなく、特定のプロジェクトや部署での試験導入から始める「スモールスタート」は、現場の抵抗感を減らし、DXを成功させるための鍵となります。
5. 施工管理技士はAIに代替されない!「人」にしかできない仕事に集中
施工管理のDX化は、AIに仕事を奪われることではありません。AIやデジタルツールに任せられる部分は任せ、人間にしかできない業務に集中するための手段です。
- AIにはできない「経験と勘」に基づく判断
天候や現場の状況、職人さんの体調など、刻々と変わる状況の中で最適な判断を下すには、長年の経験と勘が不可欠です。AIは膨大なデータから予測はできても、最終的な決断を下すことはできません。
電気設備の故障診断やトラブルシューティングは、データだけでは分からない「異音」「異臭」「過去の傾向」など、五感を総動員した技術者の経験値が最も重要となります。
- チームを動かす「リーダーシップ」
安全意識を徹底させたり、難しい要求に応えたり、モチベーションを維持させたりと、現場で働く人々の心を動かすのは、施工管理技士のリーダーシップです。人間同士の信頼関係を築く力は、AIには決して真似のできない仕事です。
DXによって生まれた時間こそ、現場での職人との対話や、安全教育の充実など、人間関係とチーム力を強化するための時間に充てるべきです。
- 複雑な「交渉力」と「調整力」
クライアントや発注者、下請け業者、設計者など、立場や利害関係が異なる人々と円滑にコミュニケーションを取り、プロジェクトを成功に導くための調整能力は、人間ならではのスキルです。
特に、コスト超過や工期遅延が発生した際の交渉は、AIには不可能な感情の機微を理解した上での落としどころの模索が必要とされます。
まとめ:DXで「人」にしかできない本質的な仕事へシフトしよう
施工管理技士の仕事は、デジタルの力を借りることで、より効率的でスマートな働き方へと進化します。DXツールを導入することで、書類作成や情報整理といった定型業務にかかっていた時間を大幅に削減でき、職人との対話や安全管理、品質向上といった、より本質的な業務に集中できるようになります。また、AIには代替できない「経験と勘」に基づく判断力や、人々を動かすリーダーシップこそが、施工管理技士の真価を発揮する鍵となります。働き方を変えるための第一歩として、まずは身近なDXツールから導入を検討してみてはいかがでしょうか。