電気工事士の年収中央値:データが示すリアルな収入層

電気工事士の年収中央値:データが示すリアルな収入層

2025/08/19

投稿者:elecareer_staff

 

電気工事士の年収について調べる際、「平均年収」という言葉をよく耳にするでしょう。

しかし、平均値だけでは、一部の高収入者が全体を引き上げている可能性があり、実際に多くの人がどのくらいの収入を得ているのかが見えにくいことがあります。

そこで着目したいのが「年収中央値」です。

中央値は、データを小さい順に並べたときにちょうど真ん中にくる値であり、より実態に近い収入層を示します。

 

このコラムでは、電気工事士の平均年収や年収中央値がどのくらいなのか、そして資格・経験による給料の違い、そして確実に収入を上げていくための具体的な方法について詳しく解説します。

これから目指す方も、キャリアアップを考えている方も、ご自身の将来設計にお役立てください。

 

 

1.電気工事士の平均年収はいくらなのか?

電気工事士として働く場合、まず知っておきたいのが業界全体の平均的な給与水準です。もちろん、個人のスキルや働く地域によって差はありますが、公的な統計データを見ることでおおよその相場観をつかむことができます。ここでは、厚生労働省のデータなどを基に、平均年収と手取り額の目安について見ていきましょう。

 

全体の平均年収と手取り額の目安

厚生労働省が発表している「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、電気工事士の平均年収は547.6万円です。これは日本の給与所得者全体の平均と比べても同等か、やや高い水準に位置しています。電気は生活や産業に欠かせないインフラであり、景気に左右されにくい安定した需要があることが背景にあります。

しかし、年収という額面の数字だけでは実際の生活イメージが湧きにくいかもしれません。税金や社会保険料を差し引いた「手取り額」で考えると、もう少し現実的な数字が見えてきます。以下の表に、年収ごとの手取り額の目安をまとめましたので参考にしてください。

年収(額面) 手取り額(目安) 1ヶ月あたりの手取り(ボーナス2ヶ月分込み)
300万円 約240万円 約20万円
400万円 約317万円 約26万円
500万円 約390万円 約33万円
600万円 約466万円 約39万円
700万円 約530万円 約44万円

 

この表から分かるように、年収500万円であれば月々の手取りは約28万円程度となり、ある程度余裕のある生活が送れる水準と言えます。まずはこのラインを目指すのが第一歩となるでしょう。

出典:電気工事士-職業詳細|職業情報提供サイト(jobtag)

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他の建設業職種との比較

建設業界には多くの専門職がありますが、その中で電気工事士の給料はどのような位置付けなのでしょうか。一般的に、電気工事士は「専門知識が必要な技術職」として評価されるため、単純な作業員と比較して給与水準は高めになる傾向があります。特に、配管工や大工などの職種と比較しても遜色はなく、資格手当や技能手当が加算される分、キャリアを積むほど有利になる職種です。

他の職種との大きな違いは、国家資格である「電気工事士」の資格が業務独占資格である点です。資格がないと作業ができない領域があるため、無資格者が容易に参入できず、その専門性が給与の安定性につながっています。体力だけでなく知識と技術の両方が求められる分、長く働けることも生涯年収を高める要因となります。

 

 

2.資格の種類によって給料に差は出るのか?

電気工事士には「第二種」と「第一種」という2つの主要な資格があります。これらの資格は業務範囲が異なるだけでなく、給料にも明確な差として表れることが多いです。ここでは、それぞれの資格を持っている場合の年収相場と、企業から支給される手当について解説します。

 

第二種電気工事士の年収相場

第二種電気工事士は、一般住宅や小規模な店舗などの電気工事を行うための資格です。多くの人が最初に取得する資格であり、未経験からスタートする場合のベースとなります。第二種のみを所持している場合の年収相場は、およそ350万円から450万円程度が一般的です。

この金額は、主に住宅の屋内配線やエアコン設置、照明工事などが中心となる業務内容を反映しています。これらは比較的工事の規模が小さく、工期も短いため、どうしても大規模工事に比べると単価が低くなる傾向があります。しかし、経験を積んで作業スピードを上げたり、お客様への対応力を磨いたりすることで、この範囲の上限近くまで年収を上げることは十分に可能です。

 

第一種電気工事士の年収相場

一方、第一種電気工事士は、ビルや工場、大型商業施設などの大規模な電気設備工事を扱うことができる上位資格です。この資格を持っている場合、年収相場は450万円から600万円程度と、第二種と比較して明らかに水準が上がります。

理由としては、扱う工事の規模が大きく、高圧電力を扱う危険で高度な作業が含まれるためです。企業としても、大規模な案件を受注するためには第一種電気工事士の存在が不可欠であり、その対価として高い給料が設定されます。年収500万円以上を目指すのであれば、第一種電気工事士の取得は避けて通れない重要なステップと言えるでしょう。

 

関連資格による資格手当の相場

基本給とは別に、毎月支給される「資格手当」も年収を押し上げる重要な要素です。企業によって金額は異なりますが、資格ごとの一般的な相場を知っておくことで、転職時などの条件交渉にも役立ちます。以下の表に、主要な資格の手当相場を整理しました。

資格名称 資格手当の相場(月額) 年間換算
第二種電気工事士 2,000円〜5,000円 2.4万円〜6万円
第一種電気工事士 5,000円〜10,000円 6万円〜12万円
一級電気工事施工管理技士 10,000円〜20,000円 12万円〜24万円
第三種電気主任技術者(電験三種) 5,000円~15,000円 6万円~18万円

 

このように、第一種電気工事士を取得するだけで年間10万円近く給料が増えるケースも珍しくありません。さらに施工管理技士などの上位資格を組み合わせることで、手当だけで年間数十万円のアップが見込めるのが、この業界の大きな魅力です。

 

 

3.年齢や経験年数で収入はどう推移するか?

電気工事士は「職人」の世界であり、技術力と経験が評価される仕事です。そのため、年齢を重ねて経験を積むごとに年収が上がっていくのが一般的なカーブとなります。ここでは、年代ごとの年収推移と、それぞれの時期に求められる役割について見ていきます。

 

20代から30代の昇給ペース

20代のうちは、まだ見習いや修業期間としての側面が強く、未経験で入社した直後は年収250万円から350万円程度からスタートすることが一般的です。特に経験0年の初年度は、道具の名前を覚えたり先輩の補助をしたりすることが中心となるため、給料は控えめです。しかし、20代前半(20~24歳)になると平均年収は350万円から410万円程度へと上昇し、20代後半(25~29歳)で第二種電気工事士を取得して一人で現場を任されるようになると、年収は420万円から485万円程度へと着実に上がっていきます。

30代に入ると、現場での実務経験が5年から10年程度になり、中堅としての役割を期待されます。この時期に第一種電気工事士を取得したり、後輩の指導を任されたりすることで、年収は470万円から580万円程度へとステップアップします。30代は最も技術が伸びる時期であり、ここでの努力がその後のキャリアと年収を大きく左右します。

 

40代以降のピークと熟練工の待遇

40代から50代にかけては、電気工事士としての年収がピークを迎える時期です。この年代になると、単に作業ができるだけでなく、現場全体の管理や工程管理、顧客との折衝など、マネジメントに近い能力が求められます。熟練の職人や現場代理人として活躍する場合、年収は520万円から680万円程度、企業規模や役職によってはそれ以上に達することもあります。

以下の表は、年代ごとの平均的な年収モデルを示したものです。

年代 平均年収目安 求められる役割
経験0年(初年度) 250万~350万円 見習い、先輩の補助、基礎知識の習得
20代前半 350万〜410万円 基礎作業の習得、第二種資格取得準備
20代後半 420万〜485万円 一人での作業、第二種資格の活用
30代 470万〜580万円 現場リーダー、第一種資格の活用、後輩指導
40代〜50代 520万〜680万円 現場代理人、工程管理、高度な技術提供

 

このように、長く続けることで着実に収入が増える構造になっていますが、漫然と過ごすのではなく、それぞれの年代で求められるスキルを習得していく意識が大切です。

 

4.地域や企業規模で年収はどう変わるか?

年収は個人のスキルだけでなく、働く「場所」や「会社」によっても大きく変わります。同じ仕事内容でも、環境が違えば給料が100万円単位で変わることもあるため、自分の市場価値を最大化できる場所を選ぶ視点が必要です。

 

都道府県別の年収ランキング傾向

電気工事士の年収は都道府県によって差があり、最も高い三重県では707万円、宮城県で687万円、兵庫県で676万円となっています。一方、全国平均は547.6万円です。

東京都の平均年収は516万円程度で、全国平均と比較すると同等かやや低い水準となっています。ただし、東京都をはじめとする大都市圏では大規模な再開発やビル建設が多く、残業代や現場手当、出張手当などを含めた実質的な収入は高くなる傾向があります。また、都市部は大型プロジェクトが多く、高度な技術を必要とする案件に携わる機会が多いことも特徴です。

地方エリアでは工事の規模が小さくなりがちで、移動時間が長くなることなどから、効率的に稼ぐのが難しい場合もあります。ただし、地方でも特定の工場や発電所などのメンテナンスを請け負っている企業であれば、都市部に負けない高収入を得られることもあります。実際に、三重県や宮城県など地方の一部県では全国平均を大きく上回る年収となっています。

 

大手企業と中小企業の待遇差

企業規模による年収格差も無視できません。令和6年賃金構造基本統計調査によると、従業員数1,000人以上の企業では平均年収が約579万円であるのに対し、10~99人規模の企業では約523万円となっており、約60万円の差があります。

特に、きんでん(平均年収888万円)や関電工(平均年収819~906万円)といった超大手サブコンでは、基本給が高いだけでなく、賞与(ボーナス)や福利厚生が充実しており、主任クラスで700万円から900万円、課長クラスでは800万円から1,000万円に達するなど、一般的な電気工事会社と比べて高水準の待遇となっています。

一方で、数人から数十人規模の中小企業や町の電気屋さんの場合、給与水準は大手より低くなる傾向があります。しかし、中小企業には「実力次第で若くても稼げる」「社長との距離が近く交渉しやすい」「独立のノウハウを学びやすい」といったメリットもあります。安定と高年収を求めるなら大手、早期のスキルアップや独立志向なら中小と、目的に合わせて選ぶことが重要です。

 

 

5.年収中央値とは?平均年収との違い

まず、年収中央値とは何かを理解しましょう。

  1. 平均年収
    全員の年収を合計し、人数で割った値。極端に高い収入の人がいると、全体の平均値が引き上げられる傾向があります。
  2. 年収中央値
    年収を低い順から高い順に並べたとき、ちょうど真ん中に位置する値。これにより、高収入者や低収入者の影響を受けにくく、より多くの人が実際に得ている収入レベルを把握しやすくなります。

例えば、10人の電気工事士の年収が100万円、200万円、300万円、350万円、400万円、450万円、500万円、600万円、700万円、1000万円だった場合、平均年収は460万円ですが、中央値は425万円となります。中央値の方が、より「一般的な」収入層を反映していると言えるでしょう。

 

 

6.電気工事士の年収中央値の現状

具体的な電気工事士の年収中央値は、統計データによって多少のばらつきがありますが、一般的には350万円から450万円程度の範囲で推移していると考えられます。これは、第二種電気工事士の資格を持ち、数年の実務経験を積んだ電気工事士の一般的な年収に近い数字と言えるでしょう。

この中央値は、若手層や経験の浅い層の収入も反映しているため、平均年収よりもやや低い水準になる傾向があります。つまり、電気工事士として働き始めたばかりの時期や、基本的な業務をこなしている段階での現実的な収入目安として捉えることができます。

 

 

7.年収中央値から「稼げる」電気工事士になるには

年収中央値が示す数字は、多くの電気工事士がこのくらいの収入を得ているという現実を表しています。しかし、この数字からさらに「稼げる」電気工事士になるためには、中央値を超える努力と戦略が必要です。

 

上位資格の取得

第二種電気工事士の取得後、第一種電気工事士へのステップアップは必須です。これにより、担当できる工事の範囲が広がり、高単価の案件に携わる機会が増えます。

 

実務経験の積み重ね

経験が深まるにつれて、技術力だけでなく、現場管理能力や問題解決能力も向上します。これにより、会社からの評価が高まり、昇給や昇格に繋がりやすくなります。

 

専門性の追求

特定の分野(例えば、再生可能エネルギー関連、スマートビルディング、特殊な電気設備など)に特化し、その分野のエキスパートとなることで、高い専門性を評価され、高収入を得られる可能性があります。

 

待遇の良い大手や特定分野へ転職する

今の会社でこれ以上の昇給が見込めない場合は、環境を変えることも有効な手段です。特に、下請け専門の会社から元請けに近い会社へ転職したり、住宅メインの会社からインフラ・プラント系の会社へ転職したりすることで、年収ベースが大きく上がることがあります。

転職で年収を上げるポイントは、自分の持っている資格と経験を「高く買ってくれる市場」に持ち込むことです。例えば、人手不足が深刻な施工管理職へのキャリアチェンジや、特殊な設備(太陽光、データセンターなど)を扱う成長企業への転職は、大幅な年収アップのチャンスがあります。

 

独立開業

会社員としての年収には限界がありますが、独立開業すれば、自身の努力と営業力次第で収入を大きく伸ばすことができます。

 

 

8.独立して一人親方になれば稼げるのか?

「独立して一人親方になると、工事の単価がそのまま自分の売上になります。会社員時代は会社が取っていた利益分も自分のものになるため、一人親方の平均年収は500万円〜700万円程度となっています(全建総連東京都連合会調査では約495万円)。働き方次第では年収1000万円を超えることも不可能ではありませんが、実際には非常に稀なケースです。特に、繁忙期に仕事を詰め込んだり、単価の高い元請けと直接契約できたりすれば、収入を大幅に増やせる可能性があります。

また、自分の裁量で仕事を選べるため、『稼ぎたい時は休みなしで働く』『休みたい時は仕事を入れない』といったコントロールが可能になるのも魅力です。ただし、仕事が取れなければ収入が得られず、病気やケガによる営業停止が収入に直結するリスクもあります。実力があり、人脈も豊富で、独立資金や営業力を備えた電気工事士にとって、独立は経済的な成功を目指せる選択肢の一つと言えるでしょう。」

 

 

9.まとめ:年収中央値はキャリアアップの出発点

電気工事士の年収中央値は、この職種の一般的な収入レベルを理解する上で非常に役立つ指標です。

この数字は、あなたのキャリアアップの出発点と捉え、上位資格の取得や専門性の追求、そして実務経験の積み重ねによって、着実に年収を上げていく目標設定に役立てることができます。

 

自身の市場価値を高める努力を継続することで、電気工事士としての「稼げる」未来を切り拓いていきましょう。

 

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