電気工事士と「労災」:危険と隣り合わせの仕事で知っておくべきこと

電気工事士と「労災」:危険と隣り合わせの仕事で知っておくべきこと

2025/08/20

投稿者:elecareer_staff

電気工事士の仕事は、私たちの生活を支える重要な役割を担う一方で、「危ない」という側面が常に付きまといます。感電、高所からの墜落、工具による怪我、火災など、万が一の事故が発生した場合に、労働者を守るのが「労災(労働者災害補償保険)」です。電気工事士として働く上で、「労災」について正しく理解し、その重要性を認識しておくことは、自身の安全と生活を守るために不可欠です。

このコラムでは、電気工事士の仕事に潜む危険性と、「労災」が適用されるケース、そして「労災」発生時に知っておくべき手続きや補償内容について解説します。

 

 

 

1. 電気工事士の仕事に潜む危険性と「労災」の重要性

電気工事は、その特性上、他の業種に比べて「労災」のリスクが高いと言えます。

 

  1. 感電事故

電気工事士が直面する最も危険な事故の一つです。活線作業中や、確認不足による誤接触などで発生し、重度の火傷、心停止、死亡に至る可能性があります。

 

  1. 墜落・転落事故

高所作業車や脚立からの転落、足場の不安定さによる墜落など、高所での作業中に発生します。骨折や頭部外傷など、重篤な怪我に繋がります。

 

  1. 挟まれ・巻き込まれ事故

電線ドラムの設置、配管の運搬、機械設備の調整中などに、身体の一部が挟まれたり、回転部分に巻き込まれたりする事故です。

 

  1. 火災・爆発

ショートや過負荷による発火、可燃物近くでの作業など、電気的な原因で火災や爆発が発生し、広範囲に被害が及ぶ可能性があります。

 

  1. 粉じん・アスベスト関連

古い建物の改修工事などでは、粉じんの吸入による呼吸器疾患や、アスベストに曝露するリスクも考えられます。

 

  1. 「腰痛」などの職業病

「力仕事」や不自然な姿勢での作業が多いため、「腰痛」や腱鞘炎などの慢性的な身体の不調も、「労災」の対象となる場合があります。

 

これらの危険から労働者を守るため、「労災」は非常に重要な保険制度となります。企業は、社員が1人でもいれば「労災」への加入が義務付けられています。

 

 

 

2. 「労災」が適用されるケースと補償内容

労災」は、業務上の事由または通勤中の事由によって、労働者が負傷、疾病、障害、死亡した場合に適用されます。

 

  • 業務災害

仕事中に発生した事故や、仕事が原因で発症した病気など。

例:電気配線作業中に感電した、高所作業中に転落した、「力仕事」で「腰痛」が悪化したなど。

 

  • 通勤災害

合理的な経路及び方法による通勤中に発生した事故。

例:通勤途中に交通事故に遭ったなど。

「労災」が適用されると、以下のような補償が受けられます。

 

  • 療養(補償)給付

治療費、入院費用、薬剤費などが全額支給されます(自己負担なし)。

 

  • 休業(補償)給付

療養のため仕事ができず、賃金が支給されない場合に、休業4日目から賃金の約8割が支給されます。

 

  • 障害(補償)給付

治療後も障害が残った場合に、その障害の程度に応じて支給されます。

 

  • 遺族(補償)給付・葬祭料

業務災害や通勤災害で死亡した場合に、遺族に支給されます。

 

 

 

3. 「労災」発生時の対応と「安全管理」の徹底

万が一「労災」が発生した場合、以下の対応を速やかに行うことが重要です。

 

  1. 応急処置と医療機関への受診

まず負傷者の救護を最優先し、速やかに医療機関を受診させます。

 

  1. 会社への報告

「労災」が発生したことを、速やかに会社(上司や担当部署)に報告します。

 

  1. 「労災」申請の手続き

会社と協力して、労働基準監督署への「労災」申請手続きを行います。必要な書類の提出や、事故状況の説明が求められます。

 

最も重要なのは、「労災」を発生させないことです。

  • 「安全管理」の徹底

電気工事士の仕事において、「安全管理」は最優先事項です。作業前の危険予知活動(KYT)、保護具(ヘルメット、安全帯、絶縁手袋など)の確実な着用、正しい作業手順の遵守、安全標識の確認などを徹底しましょう。

 

  • 体調管理

「激務」や「残業」で疲労が蓄積していると、判断力が鈍り、事故に繋がりやすくなります。適度な「休み」を確保し、体調を万全に保つことも「安全管理」の一環です。

 

 

 

まとめ:「労災」を知り、安全意識を高める電気工事士

電気工事士の仕事は、「労災」のリスクと常に隣り合わせです。しかし、その「労災」制度について正しく理解し、万が一の事態に備えておくことは、あなた自身と家族の生活を守るために不可欠です。

 

そして何よりも、日々の業務において「安全管理」を徹底し、危険を回避する意識を持つことが、最も重要な「労災」対策となります。安全第一で「やりがい」を持って働き続けることが、プロの電気工事士としての魅力を一層高めることでしょう。

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