電気工事施工管理技士・管工事施工管理技士と「CAD」:必須スキル?それともあると有利な能力?

電気工事施工管理技士・管工事施工管理技士と「CAD」:必須スキル?それともあると有利な能力?

2025/07/15

投稿者:elecareer_staff

「電気工事施工管理技士の仕事って、CADを使う機会が多いって聞くけど、どれくらい必要なんだろう?」

「管工事施工管理技士にはCADスキルがないとダメなのかな?」

――電気設備業界や管工事業界で働く、あるいは目指す上で、**CADComputer Aided Design**という言葉を耳にする機会は多いでしょう。特に施工管理技士にとって、CADスキルはどれほどの重要性を持つのでしょうか?

このコラムでは、電気工事施工管理技士と管工事施工管理技士の仕事におけるCADの役割と、その必要性について詳しく解説します。

CADが「必須スキル」なのか、それとも「あると有利な能力」なのか、その実態を明らかにし、CADスキルを習得するメリットや学習方法についても触れていきます。

あなたのキャリアプランを考える上で、この情報が役立つことを願っています。

 

 

 

1. 施工管理技士の仕事における「CAD」の役割

CADは、設計図面を作成・編集するためのソフトウェアであり、電気設備や管工事のプロジェクトのあらゆる段階で活用されます。施工管理技士も、その業務の中でCADと深く関わります。

 

1. 設計図面の読み込みと理解

施工管理技士の仕事は、まず設計図面を正確に読み解くことから始まります。CADで作成された図面には、詳細な配線経路、機器の配置、ダクトや配管のルート、支持方法などが記されており、工事の全てを把握するために不可欠です。

 

  • 情報源としてのCAD図面

現場では、設計事務所から提供されるCAD図面を基に、施工計画を立て、電気工事士や管工事士への指示を行います。図面から必要な情報を正確に抽出し、工事の全体像を理解する能力が求められます。

 

  • 整合性の確認

建築図、構造図、電気設備図、空調設備図、衛生設備図など、複数の図面間の整合性を確認し、他設備や建築躯体との干渉がないかチェックする際にも、CAD図面の理解は極めて重要です。特に電気設備や管工事は、建物全体に張り巡らされるため、他工事との取り合いが多いのが特徴です。

 

2. 現場での確認と修正

現場で実際に工事を進める中で、設計図面と現場の状況にズレが生じたり、軽微な修正が必要になったりすることがあります。

 

  • 図面修正の指示

現場の状況に合わせて、機器の配置や配線・配管ルートを微調整する必要がある場合、設計担当者や作図担当者に修正指示を出す際に、CADの知識があるとスムーズに意図を伝えられます。口頭での説明では伝わりにくい複雑な内容も、CADの専門用語や図面構造を理解していると、より的確に指示が出せます。

 

  • 簡易な修正作業

状況によっては、施工管理技士自身が現場で簡易な図面修正を行うこともあります。例えば、照明器具の取り付け位置の調整、コンセントの増設、配管ルートの軽微な変更、支持金物の追加など、その場でCADソフトを使って対応できると、設計部門への確認や修正依頼の手間が省け、作業効率が向上します。ただし、最終的な承認や重要な変更は設計部門が行うことが一般的です。

 

  • 完成図書の作成

工事完了後には、実際に施工された状況を反映した**完成図書(竣工図)**を作成します。この際にもCADが使われるため、その内容を理解し、確認する能力が必要です。

 

3. 協力会社や職人への指示

CAD図面は、協力会社の担当者や職人へ具体的な作業内容を指示する際の重要なコミュニケーションツールです。

 

  • 図面を用いた説明

口頭や写真だけでは伝えにくい複雑な配線・配管ルートや機器の納まりについて、CAD図面を使って具体的に説明することで、誤解を防ぎ、スムーズな作業を促します。特に、見えない部分の配線・配管や複雑な機器間の接続などは、図面による視覚的な情報が不可欠です。

 

  • 施工図のチェック

協力会社が作成する施工図(詳細な作業手順を示す図面)の内容が、設計図面や施工計画と矛盾していないか、CADデータを用いてチェックする能力も求められます。施工図は、実際の施工品質を左右する重要な情報源となるため、その正確性を確認するスキルは非常に重要です。

 

 

 

2. 施工管理技士にとって「CAD」スキルは必須?あると有利な能力?

では、施工管理技士にとってCADスキルは「必須」なのでしょうか?それとも「あると有利な能力」なのでしょうか?

 

「必須」ではないが、「あると非常に有利」な能力

多くの企業では、施工管理技士にCADの専門的な作図能力を「必須」としているわけではありません。設計部門や作図専門の担当者がいるため、施工管理技士は主に「図面を読めること」が求められます。

しかし、CADスキルが「あると非常に有利」であることは間違いありません。

 

  • 業務効率の向上

簡易な修正や確認を自身で行えることで、設計部門や作図担当者とのやり取りの手間が省け、業務全体の効率が向上します。特に小規模な現場や、タイトなスケジュールで進む現場では、その効果は顕著です。

 

  • コミュニケーションの円滑化

CADを理解し、ある程度操作できることで、設計者や協力会社、職人との専門的な会話がスムーズになり、意思疎通のミスを減らせます。これは、電気設備工事や管工事において、他職種との連携が頻繁に発生する現場では特に強みとなります。

 

  • キャリアアップの可能性

CADスキルは、IT化・DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む現代の電気設備・管工事業界において、市場価値を高める重要な要素です。CADを使いこなせる施工管理技士は、より効率的でミスの少ない現場管理ができる人材として高く評価され、転職や昇進において有利に働くことが多いです。

 

  • 残業時間の削減にも貢献

図面修正や確認作業にかかる時間を短縮できるため、結果的に残業時間の削減にも貢献し、働き方改革にも繋がります。

 

BIMBuilding Information Modeling)の台頭

近年、電気設備・管工事業界でもCADの次世代技術としてBIMの導入が進んでいます。BIM3Dモデルに様々な情報を統合したもので、設計から施工、維持管理までを一貫して管理できます。

 

  • BIMスキルの重要性

BIMを使いこなせる施工管理技士は、3Dモデルで配線・配管の経路や機器の設置状況をシミュレーションしたり、他設備や建築躯体との干渉チェックを行ったりすることで、施工前の問題を発見し、手戻りを大幅に削減できます。特に電気設備や管工事は、狭いスペースに多くの設備が集中することが多いため、BIMによる干渉チェックは非常に有効です。

 

  • DX推進の要

BIMは電気設備・管工事業界のDX推進の核となる技術であり、今後の施工管理技士にとって、BIMを理解し、活用できる能力はますます重要になるでしょう。大手企業を中心に導入が進んでおり、今後はより幅広い企業での活用が見込まれます。導入コストや人材育成の課題もありますが、そのメリットから普及が加速している状況です。

 

 

 

3. CAD」スキルを身につけるには?

CADスキルを身につける方法はいくつかあります。

 

1. 独学での学習

  • オンライン教材や書籍

市販のCADの入門書や、YouTubeなどのオンライン学習サイトで、基本的な操作方法を独学で学ぶことができます。無料のCADソフトや、試用版(例:汎用的なAutoCADJw_cad、あるいはRebroTfasといった設備に特化したCADなど)を活用して実際に操作してみるのがおすすめです。

 

  • 実践的な練習

実際に電気設備図や空調設備図、給排水設備図をトレースしてみたり、簡単な設備の配置図を書いてみたりと、手を動かすことで習得が早まります。

 

2. 専門学校やスクールの活用

  • 体系的な学習

専門学校や民間のCADスクールでは、体系的なカリキュラムで基礎から応用までを学ぶことができます。専門講師から直接指導を受けられるため、効率的にスキルを習得できます。

 

  • 実践的な演習

実際の電気設備工事や管工事で使われる図面を題材にした演習を通じて、より実践的なスキルを身につけることができます。

 

3. 企業内研修やOJT

  • 実務を通じて習得

企業によっては、新人研修やOJTOn-the-Job Training)でCADの基本操作を教えてくれる場合もあります。実務に即した内容を学べるのがメリットです。

 

 

 

まとめ

電気工事施工管理技士、および管工事施工管理技士にとってCADスキルは、現状「必須」ではありませんが、「あると非常に有利」な能力であることは間違いありません。図面の読み込みや理解、簡易な修正、そして関係者との円滑なコミュニケーションに役立ち、業務効率の向上に大きく貢献します。

また、DXが進む現代の電気設備・管工事業界では、CADだけでなくBIMなどのデジタルツールを使いこなす能力が、今後の施工管理技士の市場価値を左右する重要な要素となるでしょう。

あなたが施工管理技士としてキャリアアップを目指すなら、ぜひCADスキルを習得することをおすすめします。独学でも、専門学校でも、企業内研修でも、自分に合った方法で積極的にスキルを磨き、未来の電気設備工事・管工事現場で活躍できる人材を目指しましょう。

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